蒸気船「凌風丸」
国内トップだった佐賀藩の技術力を証明する史実の一つが、日本初の実用蒸気船「凌風丸」だ。世界文化遺産に指定された佐賀市の三重津海軍所跡で1865(慶応元)年に造られた。
鍋島直正は、欧米列強の「黒船」(鉄製大砲を搭載した蒸気軍艦)に対抗するためには、みずからも「黒船」を作る必要があると考えた。蒸気機関の研究にいち早く着手し、長崎に来航していたオランダ船なども視察。また、オランダや英国から多くの蒸気船を購入した。理化学研究所「精煉方」の主任だった佐野常民を責任者に充て、凌風丸の建造を実現させた。


<資料>
「佐賀藩三重津海軍所絵図」(公益財団法人鍋島報效会蔵)。佐賀藩所有の凌風丸や電流丸など蒸気船・帆船11隻がずらりと並ぶ。